Vol.5

ー自分達は生き残りって思ってるー
と語るpotekomuzinズキスズキの『生き残った者なりの戦い方』とは。

バンドマンは音楽家か。

バンドという形態でやっている人は『バンドで在りたい』という者と『音楽を創り出したい』という者に別れる気がしている。どちらが優れているとかでなく、後者で在りたいと思う人達は余りにも少ない気がする。その人達の作るモノ達は何処までも面倒臭く歪だったりするが、しかし、その歪さに何やら惹かれてしまうものだ。

果たして、バンドマンは音楽家足り得るのか。

これまで数名の『音楽家』にインタビューして来たが、今回の人程『バンドマン』で在る前に『音楽家』で在るな、と感じさせた人は居なかった。
potekomuzinというバンドを率いる『音楽家』ズキスズキに初めてのアメリカツアーから、音楽と生活、そして、potekomuzinがブチ当たりブチ破らなくてはならない壁、其れを聞いてみた。

text&photo:オオ=スカ

 

『音楽に生活の時間全部使いたくて』ズキスズキ(potekomuzin)

大須賀:ズキさんって、今バイトしてるんですか?

ズキ:いやもう辞める。明日で最後だね。

大須賀:やっぱりそうなんすね。『もうバイトしなくなる』ってツイートを見て生活とかどうなるんだろうとか思っちゃって。それを聞きたくて。

ズキ:うん、もうバイトしなくなる(笑)生活の話をすると、今は企業とか大学のCMとかのBGM製作の仕事と、バンドのささやかな収入で賄ってるね。

大須賀:じゃあ、音楽だけでやってこうっていう話に?

ズキ:そうだね。音楽に生活の時間全部使いたくて。決めたのは12月で、開業届け出したのもそれくらい。

大須賀:それまたなんかあったんすか?

ズキ:アメリカツアー行った時に、結構お金借りて行ったから。そのお金をバイトして返そうと思ってたんだけど、バイトって稼げば稼ぐほどやっぱり税金とか結構掛かっちゃうからさ。節税的な意味で起業しようと思って、でバンド費を徐々に返済に当てられたら良いなと思って、今は個人事業って形でやってる。

大須賀:個人事業主なんすね。アメリカツアー、やっぱり掛かるもんなんすね、お金。

ズキ:百万円ぐらいは掛かったねぇ。普通だったら事前に貯金して行くもんだと思うんだけど、俺ら貯金とかも全くしてなかったし、その状態でも色々とバックアップしてくれるって人が居たからその人にお金借りたりして。助かってるね(笑)

大須賀:結構回りましたよね、本数。

ズキ:うん。結構回ったね。いやー、あっちでもっと入るかなとも思ったんだけどね、お金。飯食いすぎたのかな(笑)

大須賀:所謂ライブハウスって言うライブハウスみたいな所でのライブって感じじゃないですよね?映像見たけど、もっとDIYな所が多いなと言うか。

ズキ:そうね。バーとか。それこそ誰かの家だったりして。

大須賀:『ルーパーウーパー』のライブ映像とかモロそれですもんね。

 

 

ズキ:そうそう。マットレスみてーなの壁にバッ!と貼り付けて防音して。声にだけマイク立てて、あとは全部生音でさ。だから、今は俺ら逆にライブハウスのちゃんとした音響設備の環境でやるより生音のほうが上手いと思う(笑)

大須賀:逆に(笑)

『今までずっと何かに追い立てられて音楽作ってた節があって』大須賀(Teenager Kick Ass)

大須賀:今までpotekomuzinってサブスクとかは『CHASER』しか無かったじゃないですか?でも、最近になってほぼ全部急にアルバムからデモ音源まで配信し始めたりして。それでコレもあったし全部聞いてみたんですけど、最近出した音源が昔の音源に比べて音圧的な部分は敢えて減らしてる気がして。圧とかそう言う部分じゃなくて、空間というかそういう部分を大事にしている気がしたというか。そう言うニュアンスで元々やってるならわかるんだけど、元々違うスタイルでそのスタイルに変化したバンドって余り知らないって言うか。

ズキ:録り方から全然違うからね。『CHASER』前の音源とかオーバーダブ全然してないから。音数からして全然違う。

大須賀:それって急に?何か心境の変化とかあったんですか?

ズキ:急にって言うか、もう俺ら音圧とかで勝負出来ないのが段々とわかってきて。そう言う音作りじゃない音作りしなきゃなって思ったんだよね。例えば、最近は音の数とリズムの数で隙間を埋めるって作業にハマってて。一つのギターで一つのリフ弾くとするじゃない?レックの時はその一つのリフを三本のギターに分解して弾いてたりする。

大須賀:え!(笑)それで録るんすか。

ズキ:そう(笑)こっからここまでの単音はこのギターで弾いて、でここからはこれで、みたいな。

大須賀:そう言うモノ達の賜物なのか『CHASER』からなんか昔に比べてよりアンビエント感とかそう言うものが増してきたと言うか。

ズキ:そうそう。狙いがまさにそうで。『バンドサウンドっぽくないバンドサウンドを作ろう』としたのが『CHASER』だったんだ。若かった時みたいに、三人で三個の楽器でバーン!と録った時のよっしゃ録った!みたいな感覚がドンドン薄れて来てさ。そう言うのって若かった頃の特権かなっていうか。段々と細かい所が気になってきて来るじゃない?その時に昔ほどの勢いとかエネルギーで作れなくなっちゃって。でも昔には戻れないから、今は今の良さを出して行きたいって言うか。

大須賀:それこそ作曲の話になるすけど、ズキさん作曲日記みたいなの始めたじゃないですか。デモ日記みたいなの。それ見た時にほぼ毎日それが更新されてて、『この人まじでずっと曲作ってんな…』って思ったんすよね。

ズキ:そうだよもう中毒だよ(笑)最近自分の曲しか聞いてない。作ったら嬉しいから何回も聞くじゃない?そしたら、もう自分の曲しか聞かなくなっちゃって(笑)

大須賀:デモ集というかソロアルバムとかも結構出してますもんね。

ズキスズキによる『さよなら思い出よ(LOSTAGE)』

ズキ:あんまり告知してないけどね。生前整理のつもりで(笑)いつ死んでも良いようにデータのストックをとりあえず世に出さなきゃと思って今やってる。

大須賀:生前整理ってやばいな(笑)勿論それと並行してポテコの新曲、とかも作ってるじゃないですか?本当に曲作り続けるのがバイタリティになってるなぁと思って。

ズキ:そうだねぇ…大須賀ちゃん、趣味なに?

大須賀:うーん、趣味か…。喫茶店行くとかですかね。

ズキ:何そのオシャレなの(笑)

大須賀:オシャレって言うかなんて言うか(笑)前まで高校生の時とかは映画見たりしてて、自分の中でルール作って毎日一本は絶対に見ようとか決めてたんですけど。でも、音楽作り始めて私生活にも容赦なく音楽が入り込んできちゃってるの感じてて。そうした時に趣味が全部音楽かそれに付随する何かになっちゃって。だから、そういう時に喫茶店行って何をするわけではないけど、ただボーッとする時間がとても重要って言うか(笑)

ズキ:ボーッとする時間があるのは良いよ。人としてっていうか動物としてって言うか(笑)

大須賀:振り返る事ってめちゃめちゃ重要なんすよね、自分の中で。それこそズキさんの生前整理の話じゃないけど、自分の書いた曲の記録、その時どう言う気持ちで書いたか、こー言う音楽にハマってたなとか、そういうのを日記に書いたりしてるじゃないですか?あー言うのとても大事と言うか。頭だけで考えてるとごちゃごちゃしちゃうんすよね。

ズキ:大須賀ちゃんもさ、アイデアとかパッパッとめちゃめちゃ思いつくでしょう?その時々で思ってる事違うでしょ。俺もその感じあって。その時思った事一回一回記さないと忘れちゃうって思ってやってるんだよね。

大須賀:それこそ日記に書いてましたけど、『自分で作った曲だけどもうどうやって弾いたか覚えてない、耳コピしないと弾けない』みたいな(笑)

ズキ:そうそう(笑)

大須賀:だから、そういう意味でこの時はこういう物にハマってたり、こーいう事やっててみたいな事を記しておきたいし再確認してるんだろうなと感じて。でも、割と最近じゃないすか?日記もつけ始めたの。

ズキ:そうそう。二ヶ月前くらいからつけ始めた。

 

https://zukisuzuki.com

ズキスズキによる全楽曲日記『妥協記録』

 

大須賀:そういう面から、ここ最近ポテコが変わり始めてる感覚が凄いするって言うか。

ズキ:ギリギリだからじゃないかなぁ(笑)

大須賀:ギリギリか…。そう言うのって今迄は無かったんですか?メンバー脱退とかもあったりしたと思うんすけど。

ズキ:まぁあったんだけど、でも生活するにあたってギリギリだなって状況に立ってること今めちゃめちゃ実感してて。アメリカツアーの借金とかもあるし、生活とバンドとの両立でこれ程考えたのは初めてで。だから、今みんな頑張ってるよ(笑)

大須賀:ポテコってどれくらいやってるんでしたっけ。

ズキ:もう十年目!今年で。でぃるさんになってから三年目からかな。メンバー変わったりもしたけど…。そっちはもうメンバー激動だもんな(笑)

大須賀:そうっすね(笑)

ズキ:でも、やっぱりメンバー変わると音も何もかも完全に別物って言うか。

大須賀:そうなんすよね。今サポートでベース弾いてくれてる人が言ってたことが印象的だったんすけど、『同じプレイ出来るベーシストなんてこの世に絶対に居ない、お前が弾いてる時点でどう頑張ってもお前の音なんだよ。オリジナルつーかさ』って言ってて。それが凄い刺さったというか。凄い落ち着いてバンドに向き合えるようになって。その後にメンバーの感じとかプレイを聞いて自分の作りたいものとかがどんどん変化していくようになったんすよね。

ズキ:そうね。

大須賀:それこそポテコの場合がそうですけど、打ち込みのデモとバンドで合わせた時ってフレーズ感とかは一緒でも、まずドラマーが違うじゃないですか。デモは打ち込みのドラムだし。それはどう捉えてるのかなっていうか。俺パソコン上でデモ作って曲書くってことした事なかったから。

ズキ:良さはどっちもあって。でも、人に対しては機械に求めちゃいけないものを求めた方が正解だと思うな。例えばBPMの揺れだとか。正確さとかばっかり求めちゃうと縮こまっちゃうって言うか。俺もまだ正解を求めてる途中だけど、曲作りの。

大須賀:今ポテコとしては丸っとズキさんがデモ作ってそれメンバーに投げて、アレンジが変わって、みたいな感じで作ってるんですか?

ズキ:最近はそうだね。昔は完全にセッションだったんだけど。リフ一個だけ作ってスタジオで合わせて、コード進行とかその場で付けたりして。シンプルな作り方が昔は多かった。

大須賀:じゃあ最近は割とデモの時点で全編作ることの方が増えたんですか?

ズキ:そうね。でも、曲作りってずっと一辺倒でやってると飽きちゃうなって思ってて。そう言うデモの作り方とセッションみたいな作り方と、交互にやって行きたいとは思ってるかな。

大須賀:『CHASER』は交互に?

ズキ:俺的にはそうしようと思って作ってたかなぁ。やっぱ、先陣切るものじゃない?フロントマンって。だから、飽きさせたくないんだよねメンバーを(笑)

大須賀:わかるっす。ポテコって年齢もあるとは思うけど、みんな精神的に大人だなって言うか。喧嘩してる所とか見た事ないから、そう言うのってあるのかなと思って。

ズキ:まぁみんな色々と経験してきてみんなそこそこ大人だからある程度感情はコントロール出来るけど、スタジオ終わりに毎回呑んだりする時に議論はするよね。

大須賀:ポテコってスタジオ以外に一緒にいる時間って長いですよね。飲んでる時間とか、遊んでる時間とか。それって敢えて大事にしてる?

ズキ:一番大事にしてる。バンドのスタジオ練習なんて五分でいいよ!(笑)話し合いが一番大事。

大須賀:俺も最近やっとそれに気づけて。これまでは結構スタジオ四時間とか録っても一切休憩とかしないんですよ。ずっと曲作ったりしてて。でも、今のサポートメンバーが二人とも年上で。そう言う時間とても大事だなって感じで。その時にバンドのやり方間違ってたなって思ったんすよね。ライブスタジオ以外の時間がめちゃめちゃ大事だなって思えて。

ズキ:それはメンバー脱退が理由なの?

大須賀:理由っていうか…今までずっと何かに追い立てられて音楽作ってた節があって。例えば自分らでリリースしたいって言ったら事務所とかにじゃあこれだけ曲入れてって言われたりして。それで何かに追い詰められてた感じだったんですけど、それぐらいの時にメンバーが抜けて、俺のやり方間違ってたなって思って。変に圧迫してたなって言うか。

ズキ:うおー、良く腐らなかったねそれで。

大須賀:腐ってんすよね。言っちゃえば今も。同世代とかにめちゃめちゃ嫉妬とかするし、クソとか思う事の方が生きてて多いし。でも、結局やれる事しかやれないって言うか。自分的に焦っても意味ないぞって事になった時に楽しくやろうってなったのはありましたね。逆にポテコはどう言う感じなんすか?バンドの雰囲気というか。

ズキ:俺らも同じ時期。楽しくやろうを経て、挑戦して。楽しくやろうって思うとファイティングポーズ取れるから色んな無謀な挑戦できるんだよ。それこそ借金してアメリカツアー行くとかさ。でも、今それを経てどん底まで叩きつけられて、どうしようかなって前向きになったところかな。

大須賀:あーそうなんですね…。俺としてはこの前の西永福JAMでのpotekomuzinとの逃亡くそタわけとの2MANが印象的で。『凄い楽しかったけれど、俺らとしては納得してない。もっとお客さんも呼べたはずだし、届けなきゃいけない』って旨のツイートをメンバー全員がしてて。ポテコぐらいのキャリアのバンドがそう思えるのって結構な事なんだろうなって思ったんすよね。

ズキ:あれはドン底だったなー。俺帰ってからあの晩、悲しくて泣いたもん。悔しくして。逃亡も俺らも大人の力は無いけれど、サボってるというかやれてない事は沢山あって。そーいう物を全部やろう!って決めた(笑)宣伝だったりもそう。大須賀ちゃんとかは結構『俺の音楽聴け!』っていう宣伝とかそういうのは上手だなって感じて。本能的にやってるなって。でも、俺らの世代って作った側としてはシャイな世代だから。だから、代わりにやってくれる人がいたらラッキーかな?とか、あわよくば口コミでいつのまにか広がればいいじゃんって理想を思ってたけど、そう言うのを全部かなぐり捨てて全部やろうガンガン『聞いてくれない?』って姿勢になったのが西永福JAM以降かな。

大須賀:そう言う姿勢になったのって今までなかったですよね?

ズキ:無い!初めて。

大須賀:ですよね。それに俺は結構びっくりして。

ズキ:絶望したぶん、人は変われるよ(笑)

大須賀:ポテコって中間のイメージで。もう音楽は趣味で良いかな、って思ってる人達と俺たちの音楽が何処までも広がって欲しい、なにもかもかなぐり捨ててもって人達の中間というか。でも、言い方少し悪いですけどポテコのそう言う部分に人間味を感じない部分もあったりして。だから、JAMのライブの終わりの事で人間味を感じたと言うか。嬉しくて。そう言うのがあると音楽も聴き方変わってきて、『plastic』とか本当にその挑戦を感じて。

ズキ:そうだねー。心のゆとりとかは大事なんだけど、でも結構無駄な余裕があったなと思ったのよ。余裕ぶってたなって。そのシャイな、見栄みたいな部分を捨てたって感じかなぁ。

大須賀:でもそれってメンバー全員が別に示し合わせたわけじゃなく別々に思ってたって事ですもんね。

ズキ:そう思ってたっぽいね。だから、JAMのライブの次のスタジオでバンドの存続の事もみんなで話し合ったし、全部やれる事やるしか無くなったよね。

大須賀:じゃあ、あの日がバンドとして転機だったんですね。

ズキ:そうだね。バンドとしては。

『やっぱり一番デカかったのはライブハウスじゃないところで自分達がライブして、手応えがあったってのがデカかったんだよね』ズキスズキ(potekomuzin)

大須賀:それこそ最近のJAMのライブの後に反骨心だったり産まれたとして、それまではどう言う気持ちでやってたのかなって思って。『CHASER』出した直ぐ後ぐらいに、LOSTAGEの五味さんが『Apple』についてツイートしたり、ゲスの極み乙女の川谷さんが良いですよねって呟いてライブ会場のBGMとして使ったりして、バンドとしても動きがあったじゃないですか。逆にそれまではどうだったのかなって。

ズキ:それまでにも自主レーベルから何枚か全国流通したりして拡がりを求めてたりしてたけれど、今考えると他人任せな部分が多かったね。勝手に広がるだろってタカ括ってた部分はあったね。でも広がらなかったし。

大須賀:それが変わったのが最近なんすね。

ズキ:だね。もう今全部のプライド無いね。そこらへんの路上でもやれるし。この今話してる喫茶店でやれって言われたら全然やるし。

大須賀:それはアメリカツアーで付いた自信みたいな部分も大きいっすよね。

ズキ:何処でも出来るなって言う自信がついたから。何でもやるよ。

大須賀:それこそ知り合いがサウスとかでアメリカ行ったり、カナダツアー行ったりして、ガラッと変わったバンドが多いなって思ってて。パフォーマンスが強くなるバンドが多いイメージって言うか。ポテコとしてはそれも勿論あるけど、どっちかと言うと締まった筋肉が付いた印象だったんですよ。無駄な贅肉が筋肉に変わって、太ったって言うよりは痩せたんすよねある意味。機材的な話だと前はLINE6のでかいマルチエフェクター使ってたけどもう今はちっちゃいBOSSのリバーブだけじゃないですか。無駄な部分に対して見つめ直すって部分をとても感じて。

ズキ:あーそれはまさにそうだね(笑)

大須賀:俺たちの強みはこれだ!って所が明確になったって感じがしたんですよ。

ズキ:やっぱり一番デカかったのはライブハウスじゃないところで自分達がライブして、手応えがあったってのがデカかったんだよね。ライブハウスみたいな恵まれた環境じゃなくても、自分らの音だけでテンションが上がる瞬間があったんだよね。勿論、その音域の調整とかはするけどさ(笑)でも、全員がテンション上がるところが無意識で一致して共有できたのが凄い良かったんだよね。

大須賀:無意識下でそれが出来るようになったんすね。

ズキ:やっぱり生音って凄いね(笑)

大須賀:前からポテコの三人ってプレイヤーとしての甘えてない部分ってのは有ると思ってて。でも、其れこそアメリカツアーから帰ってきた時のライブ見て、それがバンドになった、一個の塊になった気がしたんすよね。やっぱりアメリカツアーって過酷だったのかなって感じて。

ズキ:毎日ライブだったし、喉の調子も心配だし、移動も三、四時間ぐらいあったし。二十日ぐらいで十八本ぐらいやったしね。

大須賀:ライブライブライブって感じだったんすね。言ってしまえば非日常って言うか、日本でのバンド生活とは比べものにならない濃度って言うか。

ズキ:そう言うのを日本でやりたいよね、って言う。音楽で飯を食ってる人の生活を体験したよって感じ。だから、全然辛くなかった。

大須賀:あーそう言う事か。楽しいなって言う。

ズキ:楽しいつーか、毎回終わった後に勿論反応あるし、毎日が充実してた。これを日本でやらなきゃって言う想いが強くなったね。でも、現実問題日本に戻っても人気者じゃあ無いし、ツアー回っても集客がある訳じゃ無い。だから、色々考えないとなぁとは思ったよ。

大須賀:それこそ初めてアメリカツアー行ったのもそうだし、fever(新代田fever)のワンマンもキャリア的には初めてでしたもんね。

ズキ:あーそうだね。レコ発みたいなので長尺はやったけど、一バンドだけでやるのは初めて。

大須賀:ですよね。色々とポテコのキャリア的に初めてって事が多かったのかなって。

ズキ:そうね。動いたね。

大須賀:十年目にして。

ズキ:本当はもっと早く売れたかったんだよ(笑)それこそ大須賀ちゃん23歳に成る歳でしょ。それぐらいには売れる予定だったのよ(笑)

大須賀:(笑)同世代ってどこら辺なんですか?

ズキ:対バンしてた所だと、川谷君(indigo la End)とかパスピエとか。仲良かったのだと、THE MASHIKOとか或るミイとかベルボーイとか良くやってたなぁ。面識無いけどきのこ帝国とかも同世代だね。

大須賀:paioniaの勇成さんにインタビューした時に思ったんですけど、俺らの世代もそうだけど、ズキさん達の世代も盛り上がり始めてるって気がしてて。お客さんとしても垣根が無くなって来てるのかなって思うんですよね。良い音楽が良いっていうか。

ズキ:良い事だよね。

大須賀:例えばポテコも通販ショップみたいなのやってるじゃないですか。でも、通販とかはpotekomuzinの事にちゃんと興味無いとわざわざサイトまで見に行かないじゃ無いですか。逆にサブスクとかの配信サービスって無作為的に色んな人に広がるツールだなとは思って。ポテコも最近全部サブスク解禁したけど、今迄はその状況に居なかったんだろうなってのもあったんですよね。

ズキ:やってなかった。

大須賀:なんであれは全部配信しようってなったんですか?

ズキ:さっきの話と同じ話だけど、やっぱり窓口として広げて行こうって言う気持ちで。

大須賀:逃亡との2MANより前でしたっけ。

ズキ:前だね。多分二月ぐらい。

大須賀:広げて行こうって言う姿勢はそこら辺からあった?

ズキ:そうだね。今迄以上にね。で、西永福での逃亡との2MANが決定打だったね(笑)逃亡とも終わった後に『百人以上集めてまた絶対にやりたいね』って話はしたね。

大須賀:そう言う話が出来るって良いなって思うんすよね。俺らの世代は宣伝とかも含めて他にやってくれる人達が居てくれたりしますけど、それでもまぁこんなもんかってなっちゃう奴らも居るし。でも、俺らの世代もそうだとは思うけど、ポテコと逃亡の世代って自分達で発信していかないと無理じゃないですか。それに対する怖さもあるとは思うし、何かが変わっちゃう怖さってのもあると思ってて。

ズキ:結構生き残りだって自覚は強いよ。十年やってるけどベテランとか先輩だとかって言う自覚全く無くて、未だに若手で。挑戦者っていうか。負けたくねぇ。

大須賀:それはそう在りたいって感じなんですか?

ズキ:ちげぇ(笑)だったら、JAMで泣かねぇだろ(笑)再認識したって感じだったね。より強くなったというか。

大須賀:『plastic』のCDって会場限定じゃないすか。あれはなんで?

ズキ:まぁ俺らは全国で流通しても売れないのよ。後今は会場限定だけど配信は四月からするよ。

大須賀:配信するんすね。

『売れてないなら、個人的には一ヶ月に一枚ぐらいなんか出さないとって思うよ、今この便利な時代なら。バンドが曲作れねぇとか時代遅れだなって感じがする』ズキスズキ(potekomuzin)

大須賀:今迄もpotekomuzinってコンスタントに音源出してるじゃないですか。何も出さない年とか無いし。それって理念としてあるんですか?

ズキ:あるね。…バンドってさ、燃費悪いよね。

大須賀:燃費?

ズキ:他のアートとか、お笑い芸人とかに比べてさ。二年に一回とかアルバムだすとかじゃない?バンドって。長い人だと四年掛かったりするし。露出少な過ぎじゃない?売れてる人ならわかるけど、売れてないなら、個人的には一ヶ月に一枚ぐらいなんか出さないとって思うよ、今この便利な時代なら。バンドが曲作れねぇとか時代遅れだなって感じがする。

大須賀:うおー、それって同世代とかに?

ズキ:いや…全部。業界全部。

大須賀:曲作れなくなったこととかってあるんですか?ズキさんって。

ズキ:ない。だって作れるでしょ。聴くじゃんだって色んな音楽。カッコいい音楽聴いて『俺もこんな音楽作りてぇ』で作るじゃない。カッコいいライブ見たら悔しくて作りたくなるでしょ。

大須賀:ポテコの世代って多種多様な音楽が存在してたなって気はしてて。みんな変わっていってるバンドが多いなっていうか。でも、ポテコには一貫性をずっと感じてて。メンバーが変わっても一貫性は感じたんですよね。

ズキ:一貫性はあるかも。

大須賀:例えば、次どういうアルバム出そうってなった時に三人とも一人ずつ考えてるのか、それとも話し合うのか。

ズキ:いや、一応俺から提示はするけど、上手くいかない事が多い方が多い。バンドのテンションによって作りたいものがその都度違うから。俺が今こういうもの作りたいからって提示して、ちょっと経つとバンドのテンションとかモードとかが全然違うから。だから、アルバム作るって時は三人が三人とも全員同じモードじゃないと作れねぇんだなって最近発見した。こういう曲作りたいなってのが『CHASER』以降あるんだけど二年ぐらい。でもそれが今だに上手くいってないね。まだ模索だねぇ。

大須賀:どうしようっていう。

ズキ:演奏を突き詰めたいモードの時と、曲を作りたい創作モードの時と、この二つがズレると全くバンドに統一感なくなっちゃうな。だから、ライブやりながらアルバム作るって難しいね。やってる人凄いなって思う。

大須賀:ポテコとしてはライブもし続けて行きたいって感じなんですよね。

ズキ:だね。

大須賀:でも、例えば配信なりSNSなんなりのほうが窓口としてでかいじゃないですか。ライブハウスにいる人達って多くても五百人とかそこら辺だけど、でも一個動画投げたら簡単に千回とか再生されるじゃないですか。窓口としての大きさは全然違うっていうか。

ズキ:確信的に言えるのが、全部やらなきゃいけないんじゃない?動画も配信もライブも、全部同じ熱量、レベルでやらなきゃダメなんじゃねーかなって。今までサボってた分さ。

 

potekomuzin

ズキスズキ / Vocal & Guitar 1987.3.5
マツイ ヒロキ / Bass 1987.4.15
オサキ リョウスケ / Drums 1985.8.20

2009年東京都調布市にて”ポテコムジン”結成。
2014年”potekomuzin”に改名。2016年現体制となる。
“日本語を生かしたグルーヴィポップミュージック”をコンセプトに活動している調布のオルタナティヴロックバンド。
自主レーベル”妥協record”を立ち上げ、これまでにフルアルバム3枚、ミニアルバム1枚、EP1枚、シングル1枚をリリース。
2018年には初のUSAツアーを敢行。各地でアメリカ人を熱狂させツアー3週間で物販20万以上売り散らかすも売上のほとんどがガソリン代で消え途方に暮れる。
帰国後初ワンマンを新代田FEVERにて開催。無事大成功を収める。
2019年3月ニューシングル「LIBIDO&YOUNG / plastic」をリリース。
ちなみにバンド名の由来は「レディオヘッド」と同じ画数にすれば売れると思い込んだズキスズキの安易な考えによるもので特に意味はない。

Official Site:https://potekomuzin.com

twitter:https://twitter.com/dakyourecord

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