音楽には一つずつ、それぞれの物語がある。
なんの変哲もない生活の事、ドラマのように嘘みたいな本当の恋の事、もう会えなくなってしまった友達の事。曲の数だけ物語がある。それを伝える為に歌詞があったり、バンドの演奏が存在しているのかも、とたまに思う事がある。僕らは曲を聴きに行っているつもりが、本当はその人達の描いた『物語』を見に行っているのかもしれない、と思う時が。
その『物語』により深く、濃く、彩りを添える『MV』と言うものが存在する。全ての楽曲にそれが存在するわけじゃないが、そのバンドが強く伝えたい曲だったりにそれは必ずしも存在していて、その映像と曲が繋がった時に曲の『物語』は全く別の『物語』に変化したり、より強く光ったりする。
その『物語』を紡ぐ四人の男女で構成される『天国』という集団。音楽だけにとどまらず、ファッションなどにも『物語』を紡ぎたいと語る『天国』という名前の彼ら。彼らは何故自分達を『天国』と呼ぶのか。『天国』は何処まで広がってゆくのか。その全てを『天国』に所属する映像ディレクター、元を中心とした四人に聞いてみた。
text&photo:オオ=スカ&天国
『その時の流行とかそういうのも見極めつつ、まずは自分が有名になりたいってのがあったから、裏方って意識があんまり無くて。』 元(天国)
大須賀:一応、自己紹介的な奴をして欲しくて。役職つーか、好きなものっていうか。元さんはどう言う感じなんですか?
元:元さんはね、なんだろうね。映像ディレクター、フォトグラファー、Tシャツ作ってる人、かな。
大須賀:Tシャツもか。ルイ君は?
ルイ:ルイさんはライブ映像を撮ってて、MV作ったり。今は監督になりたいっす。
大須賀:でも、もう監督何本かしてたよね?ROKIのMVとか。
ROKI / Farmer’s Market
ルイ:しました。最近だと、Hammer Head SharkのMVも。
Hammer Head Shark / echo
元:見た?めっちゃ良くね?めっちゃいい。
ルイ:(笑)今のところはその二本ですね。
大須賀:でも、まだ19歳でしょ?すげーな。
元:ね。恐れ入るよ。
ルイ:もっと作っていきたいです。
大須賀:楽しみやね。海ちゃんは?
海:最近は忙しくてあんまり参加できてなくて。映像も撮ってたんですけど、スチールがメインというか好きで。フィルム写真とかが好きです。
大須賀:撮られる方でもやってますよね?
海:そうですね。あんまり被写体に寄りたくはなくて、モデル活動もしたいんですけど被写体寄りになってますね。
モモカ:私はえーっと、私はライブ映像を勉強してます。
海:名前言わなきゃ。名前。
モモカ:あ、モモカです(笑)二十歳です。スチールも撮れるようになりたいけど、今はライブ映像を沢山撮ってます。
大須賀:『天国』を構成してるメンバーはこの四人で全員って感じなんですか?
元:そう。後、七億人くらい。
大須賀:国じゃん。いやまぁ、国なんだけど(笑)
元:天界のね(笑)
大須賀:『天国』が出来たのって多分、俺が『チカシツノハナ』のMV撮って貰ってちょっと経ってぐらいで。まず『天国』作った経緯ってなんだったんですか?
Teenager Kick Ass / チカシツノハナ
元:そうねー、まずお金が無くて。映像だったり写真だったりがどうやったらお金になるのかなーってずっと思ってたの。で、俺バンドとずっと一緒にいたから、バンドで一番お金になるのってグッズだなって思って。じゃあ、俺らのグッズ作ろうと。何作ろうかなーとぼんやり思ってたんだけど、丁度去年の3月ぐらいにアメリカに行く事があって。その時にInstagramのストーリーでむやみやたらに『HELL』って単語付けたストーリーを上げまくったの。なんか『HELL』ってキャッチーだし、可愛いなーと思ってさ。そしたら、『HELL』って何ですか?って興味持ってくれる人が結構居て。あ、じゃあこれTシャツにしてグッズにしちゃおうって、絶対に売れるなって思って。それを作るチームの名前を付けようと思って付けたんだけど、チーム『HELL』ってセンシティブ、マイナス過ぎるって言うか。明るいのが好きだから『天国』って名前にしたね。
大須賀:そうなんすね。でも『天国』って企業とかじゃないじゃないですか。元さんの弟子達って訳でもないし。
元:でもまぁ、弟子達、だけどね。
大須賀:あーまぁそうか。元さん映像撮ってから、もうどれくらいなんですか?今年で。
元:うーん、わかんねぇけど、ちゃんと撮ってるのは二年間ぐらい。それまでは働いてた。一年ぐらい。
大須賀:その前はバンドやってましたよね?
元:働く前にね。映像も一番最初に撮ったのはめちゃくちゃ前で。もう四年、五年前になるんだけど。TENDOUJIの『Skippy』ってMV。
TENDOUJI / Skippy
で、そん時にみんなと仲良くなって。TENDOUJI、Templay、ドミコ、MONO NO AWAREとか。初めは元々映像学校行ってたから、それだったらちょっとやってよ、って言われて良いよって。その時はまだ遊び半分で別に本気でやってなかったんだけど。で、その後に働いたんだけど働くのが超嫌で。それで辞めてバンドのみんなのところに『ただいま!』って言って帰ってきた(笑)
大須賀:その時に、自分がバンドでみんなに関わろうっていうことじゃなくて、映像撮る側に回ろうって思ったんすね。
元:うん。子供の頃から映像とか写真とかは自分に深く関わってて。だから、そうやって生きて行くんだろうなって何となく思ってて。で、もうバンドは良いな、やりたくねぇなって思ってたからライブハウスで撮り始めたって感じ。その時の流行とかそういうのも見極めつつ、まずは自分が有名になりたいってのがあったから、裏方って意識があんまり無くて。それで映像を発表していったり、って感じだったね。
大須賀:MV監督って自分を決めてる感じもない?
元:うん、何でも良いなって。映像だったら何でも。ドキュメンタリーも撮りたいし、映画も撮りたいし。
『何にもなれるし、でも地団駄踏んでる奴、めちゃくちゃ好きなんだよね。俺もそうだったから。じゃあ、一緒に居る?って聞いた。』元(天国)
大須賀:弟子的な意味で言うと、一番最初がルイ君で、その後にモモカちゃんと海ちゃんが入ってみたいな感じか。二人の経緯とかってどういう感じなの?
モモカ:私は元さんのファンで。大学とか辞めた時期で何もしてなかったんですけど、元さんの映像とかはInstagramとかで見てて。で、それで声掛けてファンです!って言ったら『何もしてないなら『天国』おいでよ』って言われて。そこからカメラ買って始めて。
大須賀:それまでカメラに関心があった訳じゃなかった?
モモカ:フィルムカメラとか買って友達と遊びで、ぐらいでしたね。
大須賀:海ちゃんは?
海:私は元さんから声掛けてくれて。
大須賀:あ、そうなんだ。唯一スカウトみたいな。
元:うん。最強だと思ってたから。
海:(笑)『天国』やる結構前に、TENDOUJIの写真とか動画がたくさん必要なタイミングがあったらしくて。前から元さんは私のTwitterとかInstagramとかフォローしてくれてたんですけど、私は逆にあんまり知らなくて。TENDOUJIのライブも行った事なかったし。そしたら突然、ライブの写真一杯必要だから撮ってくれませんかってDMで連絡が来て。こう言うのが来たんだけどって友達に言ったら『えこの人有名な人だよ!』って(笑)TENDOUJIのライブも撮れるなんてめちゃ良いじゃんって言うから、じゃあ行ってみるかってなりましたね。それまでは好きなバンドを好きなようにしか撮ってなかったんですけど。
大須賀:それまでは撮影とかどういうバンド撮ってたんすか?
海:それまでは渦とか。大学のサークルでライブの撮影してたぐらいだったんで。で、さっき言ってたTENDOUJIの撮影の時に初めて元さんに会って。
元:そうそう。ずっと最強だと思ってた。
大須賀:元さんがそう思ったのはなんで?
元:だって、映りも良いし撮るのも良いし。そういう人って居ないから本当に。それにあんまりおちゃらけて無いし。私モデルです〜、みたいな感じじゃ無いしね。
大須賀:たしかに。居ないかも。モデルはどういう経緯だったんすか?
海:それは話すと長いんですけど(笑)時計を作ってる人がいて、その人が夏にモデルのオーディションやります、ってのをネットで見て。時計が貰えたんですよ。で、時計欲しいなーと思って応募したら受かってって感じです。
大須賀:ジュノンスーパーボーイコンテストに選ばれた人みたいな理由だ(笑)
元:本当そうだよ。可能性の塊なんだよ。
海:その後ぐらいにモデルのお仕事貰えるようになって。謎でしたけど。
元:みんな最強だって思ったんだよ。海ちゃんの事。俺はずっと言ってたし。
海:え、そんなの言ってたんですか、聞いてない(笑)
大須賀:聞いてない(笑)
元:俺は言ってる!(笑)みんなに言ってる。
海:(笑)その後に新卒で働いたんですけど仕事が嫌で。丁度その時ぐらいに元さんに会って『仕事辞めたいっていうか辞めるんです』って言ったら『じゃあ『天国』くれば良いじゃん』って言ってくれて。
元:写真とか映像やりたいんですって、確かNEW LINK!の打ち上げの時に言われて。それでって感じかな。
大須賀:今でも応募とか来るんですか?『天国』に。
元:うーん、たまに来るけどこれだけ熱意のある人達は来なくて。
大須賀:ルイが一番最初に元さんに弟子入りしたと思うんだけど、それこそ何で元さんに弟子入りしようと思ったの?
ルイ:これ話すと長いですよ。これ絶対に言わないといけないんで(笑)
大須賀:うるせーな(笑)
ルイ:当時何やるの?って聞かれたら決まってないし、だからとりあえず大学生なろうと思って。みんなそうだったし周りは。でも、そこもずっと悩んでたんです。そんなんで大学行ったところで何かあんのか?って。で、普通の私立文系大学受けたんですけど落ちちゃって。他のところに行けなくもなかったんですけど、妥協して他のところに行く意味とかも見出せなくて何もしないで卒業したんですよ、高校。
大須賀:えまじ?思い切った事したな。
ルイ:元さんの事は高1高2くらいからTwitterとかフォローしてて。
元:ええ、知らんかった(笑)!
大須賀:知らんかったんかい(笑)!
ルイ:Templay好きだったんで初ワンマン高校の時に見に行ったりしてて。メンバーにサイン貰ったり。元さんの事はTwitterをフォローしてる時にTemplayの映像撮ってる人なんだってのはまだ知らなくて。調べてるうちに知ったんです。それでファンになったんです。元々映像とか写真には興味があったんですけど。
大須賀:やってたわけじゃなかったのね。
ルイ:フィルムカメラ撮ってたぐらいで。それで、卒業するタイミングで写真とか映像やってる人の進路が気になったんですよ。どうやってなったのかな、って言う。それで気になってる色んな人に聞いてみたんです。グラフィックやってる人とか写真家の人とか、それこそ元さんとか。そしたらみんな『気付いたらなってた』みたいな感じで。その時卒業するとかより前で進路迷ってる時だったんですけど、その時に『行動するべきじゃないか』って事を言われて。何かやる事が大事でしょと言うか。そう言うマインドなんだなってのを感じて。だから、とりあえず元さんに会いに行ってみようと思って連絡とって。
大須賀:弟子を取るって感覚って結構凄くないすか?最初言われた時どんな感じだったんです?
元:凄いよ!意味わかんないもん。まずそもそも俺が自分で必死だったから。本当に有名にならなきゃって思ってたし。その状況で会ったんだけど、どう言うつもりで俺に会いに来てるのかわからなくて。
ルイ:いや、逆なんすよ。俺まさか弟子になれ!なんて言われると思ってなくて。
元:そうそう(笑)俺に会いたいんだったら、働かせて下さい!って事なのかな?って思って話聞いてたんだけど、そしたら『こいつ俺の元で働く気ねーわ!』ってなって(笑)で、俺から聞いてみたんだよ。何もやってないならどう?って。俺好きなんだよ、何もやってねぇ奴。
大須賀:何にもやってねぇ奴って(笑)何にもなれる奴って言うかね(笑)
元:そう!何にもなれるし、地団駄踏んでる奴。俺もそうだったから。じゃあ、一緒に居る?って聞いた。
大須賀:一緒に居る?って告白じゃないすか(笑)
ルイ:逆に俺は弟子にして下さい!なんて言ったら失礼かなって思ってて。いきなりそんな急に仲良くなりたい人媚び売る人みたいになりたくなくて。だから、逆に何で言ってくれるんだろうって不思議でした(笑)
大須賀:モモカちゃんはなんでなの?
モモカ:知り合いがバンド始めるってなって、ライブの写真撮ってよって言われたんです。フィルムで友達撮ったりはしてたから、それでやれるのかな?って思ってその時別に面識はなかったんですけど、元さんに質問して。
元:そう。スッゲー長いメッセージが来たの。そう言うのが好きなの(笑)
大須賀:なんかわかって来た(笑)でも、それなんで元さんだったの?
モモカ:私の場合、元さんしかバンドの映像撮ってる人知らなくて。
ルイ:俺もTwitterに自分の撮ったバンドのライブ映像あげてる人、元さんしか知らなくて。
大須賀:あそう!それも思ったんだけど、定期的に撮ったライブの映像あげてるのって元さんぐらいっすよね?あれってなんでなんすか?
元:なんでだろうね。本当に必死だったんだよ。何か発信しなきゃと思ってひたすらやってた。後は、単純に友達のバンドが好きだったから。最初は思いつきで始めたけど、あれ?これって誰もやってなくね?ってなって。
ルイ:今もそう言う活動の原点だと思ってます。元さんが。
大須賀:あと、バンドに付きっ切りで一緒にやってる映像の人って他にあんまり知らなくて。元さん以外。
元:いや居るんだよ。表立ってないだけで。裏方に徹してるというか。表立ってるのはマニさんぐらいかな。
大須賀:でも、ライブ映像の奴は面白いよなぁ。狙ってなかったすもんね。別にムーブメント作ろうとかではなくて。
元:じゃない。最高でしょ!俺の好きなもの!って感じでやり始めたね。必死だったのもあるけど。
『元さんって存在の全てに惹かれてたかもしれないです。ほぼ顔も知らないけど、なんか良いなって思ってたって言うか。それぐらい好きです。』ルイ(天国)
大須賀:『天国』ってバランス面白いっすよね。モモカちゃんとルイ君は元さんの事を前から知っててそれで何か教えてくださいって形で入ってきてるけど、海ちゃんは逆に全く知らなくて誘われてるっていう。スタートとしては真逆の人達で構成されてるのがいいというか。海ちゃん誘おうと思ったのは理由あったんですか?
元:話してた時に『何にもやる事なくなっちゃったんですよ、でも写真とか映像とかやりたいんですよね』って言ってたから誘ったね。モデルにもなれるし、なんで逆にこんな逸材みんな気付かないんだろうって思って。
大須賀:『天国』なり元さんなりが作った映像に海ちゃんがモデルとして出て来るってのはまだやった事ないんすよね?やろうって気持ちはある?
海:Tシャツのモデルやった時ぐらいですね。
元:まだ無いね。めっちゃやりたいんだけど、そもそも可愛い女の子が出て来る感じの映像があんまり得意じゃ無いんだよね。俺が。
海:元さんが撮ると女の子が出ても可愛い女の子!って感じにならないんですよね。違う感じというか。
大須賀:主戦場じゃ無いなっていう感覚?
元:そうかもね。そうかもしんない。
大須賀:あと、ちょっとこれ聞いときたくて。MVを作ってる人に聴きたかったんですけど、今の時代MVがそのバンドのCDよりもサブスクよりももっと前の入り口って言うか。みんなまずYouTubeなりでMV見て、それで良かったらサブスクだったりCDだったり音源聴いてみてって流れがあったりする。バンドが広がってゆく窓口の一番手前のところにMVがあるなって言うか。さらにMV監督って一口に言ってもめちゃめちゃな数の人達がいて、でもその中で一個の集団、チームであるのって『天国』の他には無いと思うんですよ。『天国』が初めてな気がして。それに関してはみんなどう思うのかな?って言う。MV撮る人として、自分は違うことやっているなって感じるのか。
元:どうなんだろうな…。俺多分そもそもPV監督って言うニュアンスがあんまりわかんなくて。自覚もないし。大きく言えば…映像チャンネルになりたいわけ。俺が。
大須賀:ある意味YouTuber的な感じの。
元:大きく言えばね。音楽専門になっちゃってるけど、映像としてPVお願いされたら頑張りますってなってるだけで。自分の方針としては『MVディレクター』じゃなくて『映像ディレクター』で居たいんだよ。『天国』はそう言うチャンネルとしてやっていけたらなって思ってたけど、まだちょっとわかんないかな。
大須賀:俺も良くわかってないんですけど、YouTuberのカワグチさんとかとも絡んだりしてるじゃないですか。そう言うことから感じるけど音楽だから、とかそういう垣根は元さんの中ではあまりない?
元:ジン君とかは俺が好きだったから。音楽だけじゃなくて、エンターティメントなチャンネルになりたかったの俺自身が。それこそYouTuberも大好きだったし、芸人の人とか舞台の人とか、そう言う人達って絶対に撮りたがられてるから。それを俺が撮ったら面白いだろ、ってずっと思ってて。その始めが本当にそのトップレベルのカワグチジンって人だったってだけ。
大須賀:カワグチさんには自分から連絡取ったりしたんですか?一番最初は。
元:俺から連絡した。最初俺がフォローしてて、いつのまにか俺もフォローされてて。
大須賀:Twitterってすげぇな(笑)今の時代。
元:凄い、本当に凄い。Twitterだからね、出会いが。『天国』もそうだったりするし。
ルイ:でも、逆にまさか連絡しても返ってくると思ってなくて。一番元さんが親身になってくれたって言うか。会いたいですって言ったのは元さんだけでしたけど、まさか本当に会ってくれるとは思ってなかったし。
元:その会いたいですってのが大事だよな。他の人達も会いたいですって言ったら会ってたかもしれないし。
ルイ:元さんって存在の全てに惹かれてたかもしれないです。ほぼ顔も知らないけど、当時からなんか良いなって思ってたって言うか。それぐらい好きです。
大須賀:だそうです(笑)
元:でも、そう言う存在になろうとは思ってる。なにそれ?って言うか。ずっとそう言う人生が良い。ストレンジな存在のモノの方が売れたり、有名になったりすると思うから。
大須賀:俺も元さんを最初に知ったのはTwitterで確かtetoのライブの動画が流れてきて、良いなって思ってて。で、丁度俺らもMV作ろうってタイミングで、撮って欲しい人探してて、そしたらpaioniaがMV出しててそれが凄く良くて調べてみたら元さんだったんですよね。あー言うMV撮る人あんまり居ないって言うか。アートの感触が強いって言うか。
元:アート撮ってたからね。あのMVに関しては(笑)そのまんま絵撮ってたから(笑)
大須賀:映画のワンシーンのような感じがしたんですよ。そこのルーツとかあるんですか?
元:ええ…。わかんないな。あんのかな。
大須賀:でも、ちょっと違うとは思うでしょ?他の人とは。
元:いや俺全く思わないんだよな。MVに関しては他のみんなと一緒だなって思ってんだよね。
ルイ:でも、大須賀君の言いたい事はわかるっす。
海:映画っぽいってのは私もそう思う。
大須賀:なんかストーリーを感じるんですよね。語ってはないけど。paioniaの『正直者は二度死ぬ』のMVとかもそうで、友達と談笑してるシーンとかプレゼント貰ったりとか。
元:あれはね。兄弟なんすよ。
大須賀:え、そうなんすか。
元:熱いっしょ(笑)
大須賀:えじゃあなんでプレゼントとか渡してるんすか?
元:あれはね、勇成さんの妹さんと妹さんの彼氏なの。その二人と勇成さんが一緒に住んでて。その日がちょうど勇成さんの誕生日で、普段プレゼントなんて渡さないんだけどプレゼント渡しだして(笑)俺は勇成さんに今日行けたら行きたいですって言っててたまたま運良くて。あれ、めっちゃ良かったんだよね。本当良かった。本当に良かった(笑)
大須賀:paioniaの映像が特にそうですけど、なんかアートを感じるんすよね。なんなんだろうかなーってずっと思ってて。
元:なんなんだろうね。俺『フォークソング』のMVが凄い気に入ってて。やっぱり気に入ってる、めっちゃ好きだなーってのはあるよね。
大須賀:あれ良いですよね。
『私も今知り合いのバンドを主に撮らせてもらってて、その人達が好きだからやってるんですよ。それが楽しくて。やりたくて始めたわけじゃないけど、やらせて貰えるようになって、今はこれが楽しいから。』モモカ(天国)
大須賀:今はMVやら映像やらに関しては二人が(ルイ君とモモカちゃん)がやってるじゃないですか。元さんは結構バックアップ回ったりしてるんですか?
元:ルイのはしたかな。ROKIの奴。撮影だけした。
大須賀:絵コンテとかはお前が切ってるの?
ルイ:そうだけどあれは結構元さんに助けられて。俺もかなり緊張してて、元さんに助けてもらった部分は大きかったですね。
大須賀:ルイ君としてはMV監督としてやっていきたいってのが強くある?
ルイ:うーん、まぁ今年とかはそれをメインにやりたくて。もっと撮りたいし。でも、音楽だけに囚われたくなくて。ファッションとかにも関われたら良いかなとは思ってます。
大須賀:ファッション?
ルイ:大学落ちた時にファッションの専門行こうと思ってて。服作ろうと思ってたんですよ。でも、作るのは違うなって。だからスチールとかで関わりたいんですよね。
大須賀:俺もよく分かってないけどスチールってのは写真って事?
元:そう。写真撮影の事だね。
大須賀:そうなんすね。モモカちゃんはMVやってきたいみたいな気持ちは?
モモカ:私も今知り合いのバンドを主に撮らせてもらってて、その人達が好きだからやってるんですよ。それが楽しくて。やりたくて始めたわけじゃないけど、やらせて貰えるようになって、今はこれが楽しいから。今はこれが楽しいってのが一番ですね。
元:だからやってるもんな。
大須賀:俺もあったけど、大学高校卒業してどうしようみたいになるじゃないですか。海ちゃんって大学は行ってた?
海:行ってました。今は働いてます。
大須賀:働いてるんだ。そういう視点からすると、どういう風に関わっていきたいのかなってのはあって。『天国』に対して。
海:働き出すとやっぱりあんまり行けなくなってて。ライブハウスも結構行けてなくて。将来どうになりたいのかもまだよくわかってなくて。でも、元さんの作品とかとても好きだし、写真を撮ることはとても好きだから、何らかの形で関わり続けたらなとは思ってます。
大須賀:撮られる方はどうなの?
海:撮られるのも好きなんですけど、被写体って難しいじゃないですか。やっぱり。
大須賀:そうっすよね。でも、なんか三人ともみんな純粋な感じがして。良いなぁと思う。
元:海ちゃんはどうなりたいの?一番悩んでるイメージがある。三人の中だと。
海:そうですね…。わからないかも。昔は探してたんですけど、最近は探してもないかも。
元:そうだよね。ほんと忙しいんだと思う。
海:お金なさすぎてしんどくて仕事また始めたんですけど、どうしようってのはずっと今もあって。
大須賀:バンドの話になるけど仕事しながらやってる人とか本当すごいなって言うか。その感覚ってすごいなぁって思うんすよね。
元:本当にそう思う。
海:もう一回仕事始めるって時にルイ君と元さんに言ったんですけど、辞めとけって二人は言ってて。止められたんですけど…。
大須賀:ルイも?(笑)
ルイ:辞めとけって言うか、仕事って始めるとやっぱり仕事だから。それやってお金もらってるから。そう言うことにはなるよ、とは言ったかもしれないです。
海:好きな事やってるんですけど、周りの目とか思いっきり気にしちゃうので。周りとか見ると結婚してたりして。社会人2年目の歳だから、昇進したとか店長なったとかそう言う話とか聞くんですよ。そうするとやっぱり焦っちゃうんです。だから、今はよくわからなくて。
元:リアルな話だ(笑)
大須賀:うおー。
海:ライブハウスもめっちゃ行ってて。週2.3回のペースで。撮ったり見たり。あの時は何の情熱であれだけ動いてたんだろうってモードになっちゃって。今は本当に行けてないし。
大須賀:元さんとしてはどうなって欲しいとかってあるんですか?
元:うーん、好きな事やって欲しいって思う。やっぱり最大限の味方だから。出来ることはなんでもしたいよ。こうやってディズニーランド連れてくるし(笑)
一同:(笑)
元:いや本当に凄い事なんだよ!こんな若造達をディズニーランド連れてきてさ。凄い嬉しい事だよ。
海:私とそんなに歳変わらないですよ!(笑)
『HELL』って無限の可能性があると思うのね。ポップだし、それこそ日本中に広がる可能性が。それを育てるのか、それとも自分の映像を育てるのか、そこで悩んじゃって』元(天国)
大須賀:MVって本当に金掛かるじゃないですか?金が掛かれば掛かるほど、ある程度良いものは撮れるとも思うし。でも、元さんはそこであまり勝負してない感じがするっていうか。まず身体動かせ!って感じがして。
元:フィジカル面のね。
大須賀:そう言う人って他にもいるんですか?
元:いるいる。やっぱり居るよ。
大須賀:それって同世代ですか?
元:おっさん。おっさんから学ぶことは多いよ。
大須賀:おっさんなんすね(笑)それこそ一つ上の世代の人達とかに元さんって師匠みたいな人っているんですか?
元:いたいた。元々働いてたのが師匠の元で、俺も一回アシスタントになったの。そこが本当に嫌で。最初は好きだったんだけど、段々とおかしい事に気付き始めてなんだこれ?ちょっとヤダなぁと思ってそこは辞めて。それこそでっかい金の掛かったMVとかもやってたし、ドラマの撮影とかもやってたし。天と地を両方見たから色んな人を見たよ。
大須賀:でも、今の元さんとしてはMV監督って感覚でやってないんすもんね。
元:うん。映像ディレクター。
大須賀:次これやりたいってのはあるんですか?
元:うーん、とりあえず今は『HELL』Tが売れ過ぎちゃってるから、もっと自分の事考えないとヤバイなぁと思ってるなぁ。『HELL』って無限の可能性があると思うのね。ポップだし、それこそ日本中に広がる可能性が。それを育てるのか、それとも自分の映像を育てるのか、そこで悩んじゃって。お金は入ってくるから。
大須賀:え、今ってバイトとかしてるんですか?
元:してないよ。『HELL』Tで食ってる。
大須賀:『HELL』で食ってんの!?
元:うん。もちろん映像ディレクターとしての仕事もしてるけど、今本当ほぼほぼ全部辞めてて。ジン君と会ってるくらいなんだけど(笑)
大須賀:家では何してるんですか?
元:休んでる。YouTube見たり、寝てるし、色んな人と会ってる。同級生とか。
大須賀:あーそうなんすね。一時期、それこそ俺らの『花焔』のMV撮ってもらった時が一番忙しそうで、それこそ倒れたりしてたじゃないですか。
元:いや、実はこの2年ぐらいずっと忙しくて。
大須賀:じゃあ元さん的にはそれで『ダメだ!一回考えよう』ってなって休んでるって感じなんすね。
元:そう。
ルイ:一時期ずっと忙しそうでしたもんね。本当。
元:ルイは本当にわかってる(笑)一時期本当にやばかったよね。なんかさ、4連続ぐらいMV撮ってた時とかもあったもんね(笑)
ルイ:そう、1ヶ月に4本ぐらいあったっすよね。毎週締め切りって感じで。
元:そうそう、本当にそんな感じ。延ばしてもらったりしてたし。自分って本当に何にもできないし器用じゃないから、一個に集中したくて。同時並行で色んなもの作ったりしたくなくて。うわぁー!ってなっちゃっうから。もう俺自分のサイクルで生み出してるものが正しいものなのかもわからなくなっちゃって。言われたもの全部受けてたの。そうしたらわからなくなっちゃって。
大須賀:全部受けてたの(笑)
元:そう。で、今は自分のほんとに好きなものってなんなんだろうと思って、考えてる途中。だからずっとTENDOUJIとかに付いてバカな話したりしてる。
大須賀:『天国』一同が会するのが久々だと思うんですけど。『天国」って結局は映像集団なんですか?
元:いやそこも決めてない。なんでも良いのよ。エンタメって言うか。
ルイ:それこそ現場とかで一緒にこの四人が偶然仕事する事とかあって。で、周りも『天国』の事知ってて。でも、誰がメンバーなのか知らないから『あ、貴方もメンバーなんだ』みたいになってそれが面白くて。みんな『天国』が何人いるかわからないみたいな。制作会社みたいな動き方もしてないし。
海:謎集団で良いよね。
元:ストレンジな存在がやっぱり良いよね。売れるとも思ってるし。わかりやすくて変なものが。
大須賀:『天国』がボンって出てきて、『HELL』Tとか売り出した当初、かなり集団として謎で。
元:そりゃそうだ(笑)
大須賀:煙玉持ってるし何をする集団なのかもわからんぞっていうか(笑)最初は音楽に纏わる映像集団なのかなって思ってたけど話聞いたら音楽じゃなくても良いって感じもするし。
ルイ:別になんでも良いっていうスタンスじゃなくて、音楽関係の映像も勿論やるんだけどそれ以外出来ないってのは良くないから、それこそ服飾とかも好きだしやるって感じです。
元:そうそう、Tシャツ作るってなったのもルイが洋服作りたいですって言ったからじゃあ作るかってなったの。新宿の道端で。
大須賀:あそうなんだ、発案はルイ君なのね。
元:だから、俺はみんなの力になれば良いなと思ってて。ルイは写真は映像も好きだけど、ファッションもやりたいって言ってたの。だから、一緒にやろうよって言ったのね。
大須賀:話聞いてるとやっぱり元さんはこの四人の夢を叶えあげたいって欲求がめちゃくちゃあるんすね。なんか家族っぽいな。
元:めちゃくちゃある。
ルイ:そう言う存在に感じてます。
元:だってさ、こいつサチモスのバックステージとか行ってんだよ?こいつの人生やばくない?
ルイ:なんか高校卒業してからのこの一年が本当に目まぐるしくて。それこそTemplayが凄い好きなんですけど、ある時にTENDOUJIのグッズのデザインしてる人の家に泊まった事があってその時Templayのメンバーもいて、一緒に朝食食べたんですよ(笑)
元:全然話しかけられなくて、ずっと『指が綺麗だな』って思ってたらしいよ(笑)
一同:(笑)
海:私もpaioniaの勇成さんの弾き語りの時にきのこ帝国の佐藤さんも弾き語りでいらっしゃって。お会い出来たのは夢みたいでした…。
大須賀:元さんはやっぱり他の三人を助けたいって感じあるんすね。
元:助けてるって言うとおこがましいけどね。普通に友達だから。なんか地団駄踏んでる若者が、めっちゃいい。
大須賀:未来を託してる?
元:未来を、感じる、かな。